This Bird Has Flown

映画『ノルウェイの森』を観た。


ノルウェイの森』を初めて読んだのは、高校3年生の時だった。1997年の事なので、ちょうどベストセラーになって10年後だった。友達から「これを読むと、切なくなるよ」と言って勧められた。今だったら、そんな勧め方をされたら読まなかっただろうが、当時は暇だったので(受験勉強しろよ)、借りて読むことにした。
帰りの電車で読み始め、家に帰っても読み、晩ご飯までには2冊を読み終えた。あんなに集中して本を読んだのは久しぶりのことだった。そこから村上春樹にはまり、過去の作品を全部読み返し、新たに発売される作品も全て読んで、今日に至る。

村上春樹の作品を全て読んだが、やはり『ノルウェイの森』が一番好きである。
趣味は何か?と聞かれたとき、「読書」と答える事が多いが(趣味を聞かれることが最近無くなった気がするが)、そのとき「好きな作家は?」と聞かれ、村上春樹と答えるのは、何となく恥ずかしい気がする。また、一番好きな作品はと聞かれ、『ノルウェイの森』と答えるのも恥ずかしい気がする。F1が好きで、一番好きなのは、アイルトンセナ。プロレスが好きで、一番好きなのは、アントニオ猪木と答える事に通ずると思う(ちょっと違う気もする)。
というわけで、無難に、ヘミングウェイサリンジャードストエフスキーあたりが良いと言いたい。(本当は、三島由紀夫は内容が好きだが、文章がしっくり来ない。川端康成は、文章はものすごく美しいと思うが、内容が少々薄い。と言いたいが、長くなりそうなので適当にごまかす。)

何はともあれ、『ノルウェイの森』が一番の作品と思う。実際には、今まで何度も読み返し、内容を全て覚えてしまったために、これから先に起こることを想い、読むことがつらくなっていた。

というわけで、特に直前で読み返すことなく、映画『ノルウェイの森』を観た。
悪くない映画だとは思った。しかし、全てのエピソードを盛り込もうとして、消化不良になっていると感じた。上澄みだけしか無いのなら、そこは省いた方が良いと思った。
あと、菊地凛子。たしかに演技は上手いのだろうが、少々強すぎると感じた。自己主張の強い感じは、本作品には向かないのではないか。


久々に読んでみるか。